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秋の新着ワイナリーその1アブルッツォ州    ~ラシッチ Rasicci~


今月新入荷のワイナリー2蔵目のご紹介です!

今年の6月、アブルッツォ州の自然派モンテプルチャーノを兄弟二人三脚で醸造する「ラシッチ」のご紹介記事を書きます。

トップ写真右側が兄で当主のエマヌエーレ。左が弟のピエロ。

建築デザイナーを本業としつつ兄のワイナリーをサポートしています。彼らとは昨年11月のイタリア出張中にとあるディープなイベント(身の危険を感じるような会場でした…)で出会いました。とてもナチュラルかつ超攻撃的なモンテプルチャーノに惹かれ、今回のワイナリー訪問を決意しました!

訪問初日、ボローニャでの仕事を終えて電車でアブルッツォへ。なかなかの長距離移動でしたが、この日はメチャクチャ良い天気で海を眺めながらの気分の良い移動でした♪どこまでも続く海岸と海の家(っぽい店)を眺めていると、毎度のことですが仕事でイタリアに来ているのを忘れてしまいそうでした汗)

ラシッチのエマヌエーレとは駅で車ピックアップの約束。少し早く着いたので、小腹を満たす為にパニーニを少々頂き待つことに(^.^)顔合わせ前にビールを飲んだのは秘密です。

待ち合わせ時間とほぼきっかりにエマヌエーレが到着。約半年ぶりの再会となりました。

車で30分くらい山道を登りワイナリー到着。海からかなり近い!ワイナリーから海も見えて壮観!素敵な場所です。ワイナリー運営と共にアグリツーリズモも行っているラシッチ。とても素敵な可愛い佇まいです。

この日は宿泊でもお世話になります。

プールもあり、彼らの畑とアブルッツォの山々を一望できます!もちろんプールでは遊びませんでしたが、きっと超気持ちいことでしょう^^;

カンティーナ到着後に畑を見学する前に、エマヌエーレが彼らのアグルツーリズもに併設している可愛いミュージアム(といっても小屋みたいな感じです)を案内してくれました。

昔の農工具や生活道具が展示されています。

これは衣類を織る道具

布を織っている当時の写真も展示されていました。昔の女性達の大事な仕事だったそうで

これはなんだったかな?

こっちは農工具、右奥のトルキオ、収穫したブドウをプレスしてワインを造っていたそうです

当時は一度絞ったところにさらに水をたして2回プレスしていたそうです。昔は貴重なお酒だったでしょうからやはりたくさん造る為にそうしていたらしいです。現代と違って肉体労働が非常に多い時代。ワインはそんな疲れをいやす大切な飲み物だったのでしょう。

こういった話を聞くと現在の試飲の仕方や、自分の好みでは無いワインに対するネガティブな意見、扱いを見直したいな、と思いました。生産者それぞれが自分達の考えてを持ってクオリティーを重視したワインが溢れている世の中に感謝します。

そしていよいよ畑を見に行きます!

彼らの畑は完全無農薬栽培。土に空気を加える為だったり、必要な時には手入れをしますが、ちゃんと草もたくさん生えており、農薬に害されていない美しい景色が広がっていました。そしてこの日は超良い天気!心地よい6月の陽気と合わさり最高の畑を拝むことができました。

土壌は粘土質が強く、そこに石灰が少し混ざっています。なかなかの角度のある立地で、日照量もかなり豊富。彼らのブドウはこの条件のおかげで非常にボリュームのある果実味を備えます。栽培品種はモンテプルチャーノとぺコリーノ、トレッビアーノ、パッセリーナを栽培。今回の輸入はモンテプルチャーノのロゼとロッソだけでしたが、白ワインも造っています。

訪問時はまだ6月、ブドウも結実して間もない為、こんな感じでした。このブドウがあの濃厚なモンテプルチャーノを生み出すまでに成熟していくのです。

ラシッチは2003年に元詰めワイナリーとして設立されました。当初はエノロゴを雇い、畑でも当時は農薬を使用していました。ですが、ある時アグリツーリズモを利用したワイン好きのベルギー人の宿泊客に、「ここのワインは身体に負荷を感じる」と言われショックを受けました。そのことをエノロゴに相談し、So2を抑えるよう打診しますがエノロゴと意見が対立します。エマヌエーレはエノロゴを外して自ら醸造をする決意をします。

それからは各地で開かれているナチュラルなワインイベントに弟のピエロと共に参加していき、自然なワインを勉強、農法もセミナーやワイナリーの門をたたいて無農薬栽培に転換していきます。

畑の脇に小高くつみあがっている緑肥です。剪定した後のブドウの枝、そして土を混ぜて熟成させます。

最初は木と土が分離していますが、熟成と共に馴染んで行きます。最初は香りが弱いのですが、だんだんと深い土の香りに変化。土の中で酵母が生きているのが体感出来ました。

エマヌエーレが座っているのは収穫作業の時に座りながら横にスライドして作業ができる乗り物

背が高い人はかなりかがんで作業をしなくてはいけないのでけっこう腰に来るそう。これがあればだいぶ楽なのだそうです。彼は決して遊んでいるわけでは無く、僕達に丁寧に実演で説明をしてくれていたのです。

彼はとにかくまじめ。一つ一つ真剣に話しをしてくれます。汚れを知らない心を持っているんだと思います。

カンティーナの中に入り、セラーを見せてもらいました。これボトルをそのまま積んでいるのではなく、中にちゃんとラックがあるんです。コンパクトに収納できるけど取り出しも楽でかなり便利。これをデザインしたのは弟のピエロだそうです。センスあります。

ここで兄弟のお父さんが登場。アメリゴさん86歳だそうです。名前はアメリカで生まれたから。

元気に畑の仕事もしているそうですし、車の運転がとても上手。超安全運転。

昔は神学の教授をしていたそうです。とても紳士的で博識。ちなみに奥さんは哲学を教えていたそう。

すごい家族です。

いよいよテイスティング。彼らのワインのほとんどはモンテプルチャーノ・ダブルッツォ。各ヴィンテージを順番にテイスティングする事になりました。

飲んだヴィンテージは2011年、2012年、2013年、2015年

ほとんどVTがアルコール15%の濃厚さ汗)

2012年が日本に今回輸入したワイン、この年は燻製ハムのような熟成香があり、濃いブラックベリーの香りと合わさりとても面白いワイン。タンニンはまだまだ豊富で濃い果実味が支えている感じです。やはりかなり攻撃的。

2013年はスパイス香が強い!かなり個性的なアロマ。1年の差でけっこう印象が変わります。味わいは共通した濃厚な果実味とタンニン。パワフルです。

2011年、非常にクラシックな雰囲気でブルネロのような風格。2012年よりもだいぶほぐれた果実味。飲み頃なのかもしれません。エノロゴがいた時ですが、彼らのブドウは同じですし、熟成もしているので普通に美味しかったです!

こちらがもうひとつのワインヴィーノ・ロザート。モンテプルチャーノ100%。

彼らの強烈なロッソに最初惹かれたのですが、訪問した時に一番気に入ったのでがこのロザート。

少しだけ残糖を残したワインなので、開けたては濃い外観と違いキュートな印象。ですが、少しおいておくと表情が変わって行きます。ブランデー少し垂らした?と思うような妖艶な香り、酸味が少し強くなり残糖とバランスが取れてきます。旨味がグングン強くなり、翌日以降にはまるで別のワインのよう。ワインの中の酵母の作用なのか本当に不思議なロザートです。ずーっとだらだら飲み続けたいワイン。

テイスティングを終えて、夕食を頂く事に。ワイナリー訪問で実は一番楽しみな時間です笑

もう夜19時回っていたくらいでしたが、やっと日が傾いてきたくらいの明るさ。僕はサマータイムがけっこう好きです。一日が長く楽しめる気がしますし、明るいうちに飲む酒はやっぱり美味しい!

ワイナリーには欠かせない猫もいらっしゃいました

二匹目。寝ながらも威嚇してきます笑

彼らの家で夕食を囲みました。この時にはエマヌエーレの彼女ロレンツァもわざわざ来てくれました。

めっちゃ美人さん…エマヌエーレすげー。彼女曰く、エマヌエーレは優しい、ドルチェ、羨ましさをぐっとこらえての食事となりました…

隣に座っているのはいつもイタリアで同行してもらった小川さん。アメリゴおじいちゃんに相当気に入られていました。

まずはワイルドなカットの生ハム!

生ハムの強力な相棒、メロンもたっぷり

セコンドは丸鶏のロースト。めちゃくちゃシンプルにニンニク&ローズマリー。そしてジャガイモ。

素朴な感じがとても嬉しいです。彼らのワインと共にお腹いっぱい堪能しました。

そのままラシッチで宿泊。

ちなみに翌日のお昼も町を案内してもらいました。海が青く見えて美しい景観でした

ランチはダチョウの煮込み&サルシッチャポモドーロのキタッラ☆

エマヌエーレとピエロの2人は本当に親切に楽しく歓迎してくれました。トレジャーのカタログにはそれぞれの当主の顔写真を載せるのですが、エマヌエーレがピエロも入れて欲しいと言ったのでラシッチは2人とも載せる事にしました。仲が良くて本当に素敵です。

集合写真。本当に小規模の家族ワイナリーです。みんな日本に輸入されることを喜んでいました。エマヌエーレを心から応援しているのが良く伝わってきます。

まだまだ若く経験も浅い造り手ですが、努力を惜しまない、そして家族の強い絆を感じる素敵なワイナリー。

ラシッチのワインよろしくお願いします。

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